ギタリストなら一度は耳にしたことがあるであろう、PROCO RAT。このディストーションペダルは、数十年にわたりロック、パンク、メタル、さらにはジャズやフュージョンに至るまで、幅広いジャンルで愛され続けています。
その独特なサウンドとシンプルながらも奥深いコントロール性により、多くのギタリストのボードに君臨し続ける名機です。
今回は、RATの魅力やサウンドの特徴、歴史、さらには現行モデルの違いなどを詳しく解説していきます!
1. PROCO RATとは?

PROCO RATは、1978年にアメリカのエフェクターブランド「PROCO」が開発したディストーションペダルです。
最初期のハンドメイドモデル「BIG BOX RAT」から始まり、80年代には「RAT 2」、90年代には「Turbo RAT」などのバリエーションが登場し、現在に至るまで多くのギタリストに愛用され続けています。
RATのサウンドは、単なるディストーションというよりも「ファズ」「オーバードライブ」との中間的な性質を持ち、ローゲインではウォームで太いクランチ、ハイゲインでは荒々しくも芯のあるディストーションサウンドを生み出します。そのため、ジャンルを問わず幅広いプレイヤーにフィットするのが特徴です。
2. RATのサウンドの特徴
RATのサウンドを語る上で欠かせないのが、フィルターコントロールとLM308オペアンプ(初期モデルに採用)です。
歪みの質感
RATの歪みは、ファズのようなザラつきがありながらも、オーバードライブのような明瞭さを持ち合わせています。
シングルコイルのギターではエッジの効いたソリッドなディストーションを、ハムバッカーでは分厚くサスティンの長いサウンドを作ることができます。
フィルターコントロールの優秀さ
RATには通常の「トーン」コントロールではなく、「フィルター」コントロールが搭載されています。これがRATサウンドのカギです。

通常のトーンノブとは異なり、時計回りに回すと高音域をカットし、反時計回りで高音域が強調される設計になっています。
これにより、エッジの立ったサウンドから、ミッドが際立つウォームなトーンまで、細かい調整が可能になります。
アンプとの相性が抜群

RATはクリーンアンプの前段に置くと、アンプの特性を活かしながらナチュラルな歪みを加えることができます。また、すでに歪んでいるアンプの前に置くと、サチュレーションを増して分厚いサウンドを作ることが可能。
まさに「どんな場面でも使える万能ディストーション」と言えます。
主要なRATモデルの違い
RATにはさまざまなモデルがありますが、特に代表的な3つを比較してみましょう。
モデル名 | 特徴 | サウンドの傾向 |
RAT 2 | 現行のスタンダードモデル。ダイオードクリッピングを採用し、鋭いアタックと分厚い歪みが特徴 | クラシックなRATサウンド |
Turbo RAT | クリッピングダイオードをLEDに変更し、よりワイドレンジでラウドなサウンド | よりモダンで太い歪み |
You Dirty RAT | ゲルマニウムダイオードを使用し、ファズ寄りの歪みを実現 | よりダーティでレトロな歪み |
この他にも、コンパクトな「Lil’ RAT」や、復刻版の「Whiteface RAT」など、多くのバリエーションが存在します。
RAT2
ロック、ブルース、ジャズなど、ジャンルを問わず活躍するそのトーンは、ディストーションペダルのスタンダードといえる存在です。数々の歴史的名盤でも、その音色を耳にすることができます。
椎名林檎さんの丸の内サディスティックの歌詞にも登場する名機中の名機です。
視認性の高い赤色LEDや、踏み込みやすい傾斜のある筐体デザインを採用し、実用性を向上させています。
RATシリーズの象徴であるFILTERコントロールを搭載。右に回すと高音域をカットし、ウォームでマイルドなオーバードライブサウンドを提供。左に回すとブライトで際立つ、ディストーションらしい鋭いサウンドに変化します。
Turbo RAT
Turbo RATは、RATシリーズの中で最も強烈なディストーションペダルで、オリジナルのRATと同じ回路設計を採用しながら、クリッピングダイオードにLEDを使用することで、よりアグレッシブで力強いディストーションサウンドを実現しています。
コントロールはオリジナルRATと同様に、FILTERコントロールが搭載されています。
You Dirty RAT
You Dirty RATは、Deucetone RATのDirty RATセッティングが高い評判を受け、単体のペダルとしてリリースされたモデルです。
このペダルはディストーションとファズの完璧な中間的なペダルであり、RATディストーションの攻撃的で際立つサウンドと、クラシックなファズの暖かさを兼ね備えています。
また、You Dirty RATはオリジナルのRATよりも3dB高いコンプレッションによる真空管アンプ特有の暖かさとサスティーンも特徴です。
LIL’ RAT
LIL’ RATは、ディストーションの王者「RAT2」のサウンドをそのままコンパクトなボディに詰め込んだペダルです。RAT2同様、ロック、ブルース、パンク、ジャズなど、幅広いジャンルに対応します。
フルサイズのRATサウンドを継承しながら、サイズは約半分。横幅はわずか約5センチ(2インチ)で、ペダルボードの省スペース化に最適です。
RAT譲りの筐体デザインを採用し、背面には電源端子とジャックを配置。戦車のように頑丈な構造で、ツアーやライブにも耐える設計となっています。
FAT RAT
FAT RATは、クラシックなRATディストーションサウンドに、真空管アンプのような暖かさとモダンなローエンドの厚みを融合させたペダルです。RAT特有の攻撃的で際立つサウンドに、より滑らかでリッチなトーンが加わり、多彩な音楽ジャンルや演奏スタイルに対応します。
特にMOSFETクリッピングモードでは、真空管アンプのような自然なコンプレッションと豊かな倍音が得られ、従来のディストーションペダルを超える、より表現力豊かなサウンドを実現します。MOSFETモードの滑らかなトーンは、リードプレイやダイナミクスを活かした演奏に最適です。
FAT RATは、クラシックなディストーションサウンドをベースにしながらも、現代のプレイヤーのニーズに応える柔軟性を備えた万能なペダルです。
SOLO
SOLOは、RATシリーズとは一線を画す、革命的で新しい世代のディストーション・ペダルです。
頑丈なスチール製の筐体に収めらた新しいデザインだけでなく、非常に幅広いトーン、選択可能な3つのモードとインタラクティブなSCOOPとTONEコントロールを搭載し、ギタリストにとって最も万能なペダルとなっています。
SOLOは、サウンドや設計にも特徴があります。慎重かつ入念にマッチングされたクリッピング・ダイオードを使用し、非対称クリッピングを採用することで、ディストーションペダルに独特の反応とダイナミクスを加え、より表現力豊かなトーンを実現します。
どんなプレイヤーにおすすめ?
RATは、その独特なキャラクターと柔軟なサウンドメイキングにより、以下のようなプレイヤーに特におすすめです。
- クラシックロック/パンク系ギタリスト → アグレッシブなアタックと太いミッドが特徴
- オルタナ/グランジ系ギタリスト → 90年代のオルタナサウンドには欠かせない
- ブルース/ジャズ系ギタリスト → クランチ~ローゲインで使えば、ウォームで太いトーンも作れる
- メタルギタリスト → ブースターとしてアンプをプッシュするのに最適
このようにオールジャンルに対応できる懐の深さがRATの人気の秘密なのかもしれません。
まとめ:RATは永遠の名機!
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PROCO RATは、長い歴史の中で数々の名盤や名演に登場し、今もなおギタリストたちを魅了し続けています。
その特徴的な歪みは、オーバードライブ、ディストーション、ファズの良い部分を併せ持ち、ジャンルを問わず幅広いプレイヤーに愛されています。
もし「1台だけ歪みペダルを持つなら?」と聞かれたら、RATは間違いなく選択肢に入る名機です。あなたのボードにも、この伝説のディストーションを加えてみてはいかがでしょうか?
以上、PROCO RATの徹底解説でした!あなたのRAT体験やお気に入りのセッティングがあれば、ぜひコメントで教えてくださいね!
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